確定申告ソフトがMac M1で起動しない?原因と5つの対処法

M1チップを搭載したMacユーザーの皆様、確定申告の時期に「使っていた確定申告ソフトが起動しない」「動作が不安定になる」といったトラブルに遭遇し、お困りではないでしょうか。特に、M1チップ登場以前に開発された特定のバージョンや、Intel Mac向けに最適化されたソフトでは、このような問題が報告されています。

この問題の主な原因は、Appleが従来のIntel製CPUから自社開発のApple Silicon(M1チップ)へとCPUアーキテクチャを移行したことに伴う互換性の問題です。Appleは互換性維持のため「Rosetta 2」という技術を提供していますが、ソフトによってはその恩恵を十分に受けられないケースや、Rosetta 2の設定が適切でないために起動しない場合があります。

本記事では、M1チップ搭載Macで確定申告ソフトが起動しない原因を技術的背景から深く掘り下げ、現在の問題を解決するための具体的なステップを論理的に解説します。さらに、将来的なトラブルを回避するためのソフト選びのポイントまで、専門的かつ客観的な視点からご紹介します。

M1 Macで確定申告ソフトが起動しない技術的背景と原因

M1チップ搭載Macで確定申告ソフトが起動しない、あるいは動作が不安定になる問題は、主に以下の技術的背景が原因となっています。

従来のMacはIntel製CPUを搭載していましたが、2020年以降のMacはAppleが独自開発した「Apple Silicon」(M1チップ、M2チップなど)へと移行しました。このCPUアーキテクチャの大幅な変更は、アプリケーションの実行環境にも大きな影響を与えます。Intel Mac用に開発されたアプリケーションは、そのままではApple Silicon Mac上で動作しない可能性があります。

この互換性の問題を解決するためにAppleが提供しているのが、「Rosetta 2(ロゼッタ ツー)」という翻訳レイヤーです。Rosetta 2は、Intel Mac用にコンパイルされたアプリケーションのコードを、M1チップが理解できるコードにリアルタイムで翻訳しながら実行する役割を担っています。これにより、多くのIntel Mac向けアプリケーションが、M1 Mac上でも問題なく動作します。

しかし、以下のようなケースでRosetta 2による互換性が十分に機能せず、確定申告ソフトが起動しない問題が発生することがあります。

  • Rosetta 2が適切にインストールされていない、または機能していない場合: M1 MacにRosetta 2がまだインストールされていない、あるいは何らかの理由で正しく機能していない場合、Intel Mac向けアプリケーションは起動できません。
  • アプリケーションがRosetta 2での動作を想定していない、または特定の機能が非対応の場合: アプリケーション側の実装によっては、Rosetta 2による翻訳が困難な処理を含んでいたり、特定のライブラリやフレームワークがM1チップ環境とRosetta 2の組み合わせで正しく動作しないことがあります。特に古いバージョンや、特殊なハードウェア連携を必要とするソフトで発生しやすい傾向にあります。
  • macOSのバージョンとアプリケーションの互換性: M1チップ搭載Macは比較的新しいmacOSバージョンを前提としています。アプリケーションが特定のmacOSバージョンに最適化されていない場合、互換性問題が発生することがあります。

本記事では、これらの原因を特定し、具体的な解決策を順を追ってご案内します。

【ステップ別】起動しない問題を解決する5つの論理的アプローチ

M1 Macで確定申告ソフトが起動しないトラブルに直面した場合、以下のステップを順に試すことで、問題解決に繋がる可能性があります。技術的な視点から、一つずつ丁寧に確認していきましょう。

Step 1: macOSのバージョンを確認し、最新版へアップデートする

まず、お使いのMacのmacOSが最新の状態であるかを確認してください。OSのアップデートには、セキュリティパッチだけでなく、システム全体のパフォーマンス向上や、Rosetta 2を含む互換性レイヤーの改善が含まれていることがあります。

  1. 画面左上のAppleメニューから「システム設定」(または「システム環境設定」)を開きます。
  2. 「一般」→「ソフトウェアアップデート」を選択します。
  3. 利用可能なアップデートがあれば、指示に従ってインストールしてください。

Step 2: 互換性レイヤー「Rosetta 2」のインストール状況を確認・実行する手順

Rosetta 2は、M1 MacでIntel向けアプリケーションを初めて起動する際に自動的にインストールを促されますが、何らかの理由でインストールされていない、または破損している可能性も考えられます。

  1. ターミナルアプリケーションを開きます(「アプリケーション」→「ユーティリティ」フォルダ内)。
  2. 以下のコマンドを入力し、Enterキーを押します。
    softwareupdate --install-rosetta --agree-to-license
  3. Rosetta 2が既にインストールされている場合は「command line install is already installed」といったメッセージが表示されます。未インストールの場合は、インストールが実行されます。

Step 3: アプリケーションの「情報を見る」から「Rosettaを使用して開く」設定を試す

特定のアプリケーションに対して、Rosetta 2を使って起動することを明示的に指示する設定があります。

  1. 起動しない確定申告ソフトのアプリケーションファイルをFinderで見つけます(通常は「アプリケーション」フォルダ内)。
  2. アプリケーションファイルを右クリック(またはControlキーを押しながらクリック)し、「情報を見る」を選択します。
  3. 表示された情報ウィンドウの中に「Rosettaを使用して開く」というチェックボックスがあれば、これにチェックを入れます。
    A screenshot of macOS Finder's Get Info window for an application, showing the 'Open using Rosetta' checkbox clearly checked.
  4. チェックを入れた後、アプリケーションを再度起動してみてください。このオプションがない場合は、そのアプリケーションは既にM1ネイティブに対応しているか、Rosetta 2での動作を想定していない可能性があります。

Step 4: ライブラリフォルダ内の関連設定ファイルやキャッシュを削除する方法(※自己責任で実行)

アプリケーションの設定ファイルやキャッシュが破損している場合、起動トラブルの原因となることがあります。この操作は専門的な知識を要し、誤ったファイルを削除するとシステムや他のアプリケーションに影響が出る可能性があるため、自己責任で慎重に実行してください。 事前にMacのバックアップを取ることを強く推奨します。

  1. Finderを開き、メニューバーの「移動」からOptionキー(またはAltキー)を押しながら「ライブラリ」を選択します。
  2. 「Caches」「Application Support」「Preferences」などのフォルダ内に、問題の確定申告ソフトに関連すると思われるフォルダやファイルがないか確認します。
    • 例: com.developer.appname.plist~/Library/Caches/com.developer.appname/
  3. 特定できた場合は、それらをデスクトップなど別の場所に移動(削除はせず)し、アプリケーションを再度起動してみてください。問題が解決すれば、移動したファイルを削除して構いません。問題が解決しない、または悪化した場合は、元の場所に戻してください。

Step 5: 他の常駐アプリケーション(特にセキュリティソフト)との機能競合を確認する

Macにインストールされているセキュリティソフト(アンチウイルスソフトなど)や、システム監視ツール、VPNクライアントなどが、確定申告ソフトの起動を妨げている可能性も考えられます。

  1. これらの常駐アプリケーションを一時的に無効化(または終了)した状態で、確定申告ソフトの起動を試してみてください。
  2. 問題なく起動できた場合は、セキュリティソフトの設定を見直すか、確定申告ソフトを「信頼できるアプリケーション」として登録するなどの対策を検討してください。

これらのステップを試しても問題が解決しない場合は、確定申告ソフトの提供元サポートにM1 Macでの動作状況を問い合わせるか、後述のM1ネイティブ対応ソフトへの移行を検討するのが賢明です。

主要確定申告ソフトのM1チップ対応状況スペック比較表

M1チップ搭載Macでの確定申告を快適に行うためには、使用するソフトのM1チップへの対応状況が非常に重要です。ここでは、主要な確定申告ソフトのM1チップ対応状況を比較し、技術的な違いを解説します。

「ネイティブ対応」とは、M1チップのアーキテクチャに合わせてアプリケーションが直接コンパイルされている状態を指します。これにより、M1チップの性能を最大限に引き出し、高速かつ効率的な動作が可能です。一方、「Rosetta 2対応」は、Intel Mac向けにコンパイルされたアプリケーションがRosetta 2を介してM1 Mac上で動作する状態です。ほとんどのケースで問題なく動作しますが、ネイティブ対応に比べると若干のパフォーマンス低下や電力消費の増加が見られる可能性があります。

以下の表は、主要なクラウド型確定申告ソフトのM1チップ対応状況をまとめたものです。クラウド型ソフトはWebブラウザを通じて利用するため、OSやCPUアーキテクチャの影響を受けにくいのが特徴です。

ソフト名 M1ネイティブ対応 Rosetta 2対応 推奨macOSバージョン 公式サイト技術仕様ページ
freee会計 (クラウド版) 〇 (Webブラウザ) 〇 (Webブラウザ) 最新版を推奨 freee公式サイト
マネーフォワード クラウド (クラウド版) 〇 (Webブラウザ) 〇 (Webブラウザ) 最新版を推奨 マネーフォワード公式サイト
やよいの青色申告 オンライン (クラウド版) 〇 (Webブラウザ) 〇 (Webブラウザ) 最新版を推奨 弥生公式サイト

表の解説:

  • クラウド版の確定申告ソフトは、Webブラウザ上で動作するため、M1チップかIntelチップかといったCPUアーキテクチャの違いを意識する必要がほとんどありません。Webブラウザ自体がM1ネイティブに対応していれば、その恩恵を受けることができます。そのため、上記3社はいずれもM1 Macで快適に利用可能です。
  • インストール版の確定申告ソフト(例: 弥生会計の一部製品など)については、M1ネイティブ対応版がリリースされているか、またはRosetta 2を介しての動作が公式に保証されているかを確認する必要があります。古いバージョンのインストール型ソフトは、M1チップへの対応が困難な場合や、将来的にサポートが終了するリスクも考慮すべきです。

クラウド型ソフトは常に最新の環境で提供されるため、OSやハードウェアのアップデートに柔軟に対応できるというメリットがあります。

【根本解決】M1ネイティブ対応ソフトへ移行すべき3つの技術的メリット

Rosetta 2を介してIntel向けアプリケーションをM1 Macで動作させることは可能ですが、長期的な視点で見ると、M1ネイティブ対応の確定申告ソフトへ移行することには、以下の3つの技術的メリットがあります。

1. パフォーマンスの最適化

M1チップは、Appleが独自に設計した高性能なCPU、GPU、Neural Engineを統合したSoC(System on a Chip)です。M1ネイティブ対応のソフトウェアは、このチップのアーキテクチャを最大限に活用するように最適化されています。

これにより、Intel Mac向けソフトをRosetta 2経由で動かすよりも、処理速度が格段に速く、動作が安定します。 特に、大量のデータ処理や複雑な計算を伴う確定申告ソフトにおいて、入力から集計、帳票出力までの作業がスムーズになり、作業効率が向上します。

A detailed diagram illustrating the Apple M1 chip architecture, highlighting the CPU, GPU, and Neural Engine components for optimized performance.

2. 将来のOSアップデートへの耐性

Appleは今後もApple Siliconを搭載したMacを主力として展開していく方針です。それに伴い、macOSのアップデートもApple Siliconに最適化された形で進化していきます。M1ネイティブ対応のソフトは、これらの将来的なOSアップデートに対しても高い耐性を持ちます。

一方、Rosetta 2はあくまで互換性維持のための技術であり、いつまでもサポートが続くとは限りません。また、OSのバージョンアップによってRosetta 2の動作に予期せぬ問題が発生するリスクもゼロではありません。ネイティブ対応ソフトを選ぶことで、長期にわたって安心して利用できる環境を構築できます。

3. 省電力性能の最大化

M1チップの大きな特徴の一つが、その優れた電力効率です。高性能でありながら消費電力を抑える設計がなされており、MacBookのバッテリー駆動時間を大幅に延ばすことに貢献しています。

M1ネイティブ対応のソフトは、このM1チップの省電力性能を最大限に活用します。Rosetta 2を介した動作では、翻訳プロセスによるオーバーヘッドが生じるため、ネイティブ動作に比べて消費電力が増加する傾向があります。バッテリー駆動で作業することが多い個人事業主やフリーランスにとって、省電力性能の最大化は、外出先での作業や電源の確保が難しい環境での利用において、大きなメリットとなります。

これらの技術的メリットを考慮すると、M1 Macユーザーが確定申告ソフトを選ぶ際には、M1ネイティブ対応、特にクラウド型のソフトを優先的に検討することが、最も合理的で将来性のある選択と言えるでしょう。


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まとめ:M1 Macでの確定申告はネイティブ対応ソフトが合理的選択

M1チップ搭載Macで確定申告ソフトが起動しない問題は、IntelからApple SiliconへのCPUアーキテクチャ移行に伴う互換性の問題が主な原因です。この問題に直面した場合、まずは以下のステップを順に試すことが最も効率的な解決策となります。

  1. macOSを最新版にアップデートする。
  2. Rosetta 2が適切にインストールされているか確認し、必要であればインストールする。
  3. アプリケーションの「情報を見る」で「Rosettaを使用して開く」にチェックを入れる。
  4. (上級者向け)関連する設定ファイルやキャッシュを削除してみる。
  5. セキュリティソフトなど、他のアプリケーションとの競合がないか確認する。

これらの対処法で問題が解決しない場合、または将来的な互換性問題への不安を根本的に解消したい場合は、M1ネイティブ対応の確定申告ソフトへの移行が最も合理的な解決策となります。

M1ネイティブ対応ソフトは、M1チップのパフォーマンス、安定性、そして省電力性能を最大限に引き出すため、確定申告作業をよりスムーズかつ効率的に行えるようになります。特に、Webブラウザで利用するクラウド型の確定申告ソフトは、OSやハードウェアのバージョンに左右されにくく、常に最新の機能が提供されるため、M1 Macユーザーにとって最も安心で合理的な選択肢と言えるでしょう。

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マリ|コスパ生活研究家

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