ふるさと納税とセルフメディケーション税制併用|住民税控除額への影響と計算方法

節税に関心の高い会社員・公務員の皆様にとって、ふるさと納税とセルフメディケーション税制は、有効な税負担軽減策です。しかし、「これら二つの制度は併用できるのか?」「併用した場合、住民税の控除額にどのような影響があるのか?」といった疑問を抱く方も少なくありません。

本記事では、ふるさと納税とセルフメディケーション税制を併用した場合の住民税控除額への影響について、専門的かつ論理的に解説します。具体的な計算式とシミュレーションを通じて、節税効果を最大化するための方法を明確に示します。

【結論】ふるさと納税とセルフメディケーション税制は併用可能。住民税控除の最大化を目指す方法

結論から申し上げますと、ふるさと納税とセルフメディケーション税制は併用可能です。 これらの制度を組み合わせることで、単独で利用するよりも高い節税効果を得ることができます。

しかし、併用には以下の点に注意が必要です。

  • 確定申告が必須: セルフメディケーション税制の適用には確定申告が必須であり、ふるさと納税のワンストップ特例は利用できません。
  • 控除の種類が異なる: それぞれの制度が税金計算の異なる段階で控除されるため、計算プロセスを理解することが重要です。
  • ふるさと納税の控除上限額への影響: セルフメディケーション税制による所得控除によって課税所得が減少するため、ふるさと納税の控除上限額がわずかに変動します。

本記事では、これら併用時の住民税への影響を、図解とシミュレーションを交えて詳細に解説します。

【図解】なぜ併用できる?2つの制度の控除の仕組みと住民税への影響

ふるさと納税とセルフメディケーション税制が併用できる理由は、それぞれの控除の種類と、税金計算のどの段階で適用されるかが異なるためです。

1. セルフメディケーション税制は「所得控除」

セルフメディケーション税制は「所得控除」の一種です。所得控除とは、納税者の所得から一定額を差し引き、課税対象となる「課税所得」を減らす制度です。課税所得が減れば、所得税率や住民税率を乗じて算出される所得税額・住民税額も自然と減少します。

2. ふるさと納税は主に「税額控除」

一方、ふるさと納税は「寄附金控除」として、所得控除と税額控除の両方の側面を持ちますが、税負担軽減の大部分は「税額控除」によって行われます。税額控除とは、算出された所得税額や住民税額から『直接』一定額を差し引く制度です。

3. 控除の種類が違うため併用が可能

このように、セルフメディケーション税制が「課税所得」を減らし、ふるさと納税が「税額」を直接減らすという、異なるプロセスで税負担を軽減するため、両者を併用することが可能です。

【税金計算のフロー図】

段階 項目 適用される控除(制度) 税への影響
Step 1 年収(給与収入)
Step 2 給与所得控除 (給与収入に応じて自動適用) 課税所得を減らす
Step 3 総所得金額
Step 4 所得控除 セルフメディケーション税制、社会保険料控除、生命保険料控除など 課税所得を減らす
Step 5 課税所得金額
(所得税率・住民税率を乗じる)
Step 6 所得税額・住民税額
Step 7 税額控除 ふるさと納税(寄附金控除)、住宅ローン控除など 所得税額・住民税額から直接差し引く
Step 8 最終的な納税額 実際に納める税金が確定

このフロー図からもわかるように、セルフメディケーション税制がStep 4で課税所得を減らし、その結果算出される税額に対し、ふるさと納税がStep 7で直接控除されるため、それぞれが独立して節税効果を発揮します。ただし、課税所得が減ることで、ふるさと納税の控除上限額も連動して決定される点には注意が必要です。

住民税控除額の計算方法|併用シミュレーション【年収500万円・700万円】

ここからは、具体的なモデルケースを用いて、ふるさと納税とセルフメディケーション税制を併用した場合の住民税控除額の計算方法と影響をシミュレーションします。

シミュレーションの計算ステップ

  1. 【Step1】セルフメディケーション税制の所得控除額を計算する
    • 対象医薬品購入費が1万2000円を超えた場合、その超えた部分が所得控除額となります。上限は8万8000円です。
    • 控除額 = (対象医薬品購入費 – 1万2000円) ※上限8万8000円
  2. 【Step2】Step1を反映した後の「課税所得」を算出する
    • 総所得金額から、セルフメディケーション税制を含む全ての所得控除額を差し引きます。
  3. 【Step3】Step2の課税所得を基に、ふるさと納税の控除上限額を再計算する
    • 課税所得が減少すると、住民税の控除額が減る分、ふるさと納税の控除上限額もわずかに減少します。
  4. 【Step4】最終的な住民税・所得税の控除額と、年間の実質的な節税額を算出する
    • 所得税の軽減額と住民税の軽減額を合算し、自己負担額2000円を差し引いたものが実質的な節税額となります。

モデルケースによるシミュレーション

以下の条件でシミュレーションを行います。
* モデルケースA:年収500万円の独身会社員
* 所得税率:10%
* 住民税率:10%
* その他所得控除(社会保険料控除など)を考慮した課税所得:約200万円(セルフメディケーション税制適用前)
* モデルケースB:年収700万円の夫婦子1人会社員
* 所得税率:20%
* 住民税率:10%
* その他所得控除(社会保険料控除、扶養控除など)を考慮した課税所得:約300万円(セルフメディケーション税制適用前)
* セルフメディケーション税制の対象医薬品購入費: 5万円(控除額: 5万円 – 1万2000円 = 3万8000円)

シミュレーション結果:ふるさと納税とセルフメディケーション税制併用時の税控除額

項目 制度を使わない場合 ふるさと納税のみ利用する場合 併用した場合(セルフメディケーション税制+ふるさと納税)
モデルケースA:年収500万円 独身
セルフメディケーション税制控除額(所得控除) 0円 0円 38,000円
課税所得(目安) 200万円 200万円 1,962,000円
所得税軽減額(目安) 0円 約48,000円 所得控除分:3,800円
ふるさと納税分:約47,000円
合計:約50,800円
住民税軽減額(目安) 0円 約68,000円 所得控除分:3,800円
ふるさと納税分:約66,000円
合計:約69,800円
合計控除額(所得税+住民税) 0円 約116,000円 約120,600円
ふるさと納税控除上限額(目安) 約61,000円 約59,000円(※約2,000円減少)
実質的な節税額(※自己負担2000円除く) 0円 約114,000円 約118,600円
モデルケースB:年収700万円 夫婦子1人
セルフメディケーション税制控除額(所得控除) 0円 0円 38,000円
課税所得(目安) 300万円 300万円 2,962,000円
所得税軽減額(目安) 0円 約84,000円 所得控除分:7,600円
ふるさと納税分:約82,000円
合計:約89,600円
住民税軽減額(目安) 0円 約128,000円 所得控除分:3,800円
ふるさと納税分:約126,000円
合計:約129,800円
合計控除額(所得税+住民税) 0円 約212,000円 約219,400円
ふるさと納税控除上限額(目安) 約110,000円 約108,000円(※約2,000円減少)
実質的な節税額(※自己負担2000円除く) 0円 約210,000円 約217,400円

※上記は簡易的なシミュレーションであり、個人の状況(他の所得控除額、家族構成、住宅ローン控除など)によって実際の控除額は変動します。特にふるさと納税の控除上限額は複雑な計算を伴うため、あくまで目安としてご参照ください。

シミュレーション結果から、セルフメディケーション税制の所得控除によって課税所得が減少するため、所得税・住民税の軽減額がわずかに増加することがわかります。一方で、ふるさと納税の控除上限額は数千円程度減少しますが、それを差し引いても併用する方がトータルの節税額は大きくなるという結果です。

【最重要】併用する際の注意点3つ|ワンストップ特例は使えない

ふるさと納税とセルフメディケーション税制を併用する際に、特に注意すべき点が3つあります。これらを理解しておかないと、正しく控除を受けられない可能性があります。

注意点1:必ず「確定申告」が必要。ワンストップ特例は使えない

セルフメディケーション税制を適用するためには、確定申告が必須です。このため、ふるさと納税の「ワンストップ特例制度」を利用することはできません。ふるさと納税も確定申告に含めて手続きを行う必要があります。

注意点2:通常の「医療費控除」との選択制

セルフメディケーション税制は、通常の「医療費控除」の特例であるため、どちらか一方しか適用できません。年間の医療費総額に応じて、どちらが有利か判断する必要があります。

項目 セルフメディケーション税制 通常の医療費控除
対象者 健康診断等を受けている納税者 全ての納税者
対象費用 特定の市販薬購入費用(スイッチOTC医薬品) 病院の治療費、医薬品代、交通費など幅広い医療費
控除額計算 (対象医薬品購入費 – 1万2000円) ※上限8万8000円 (医療費の総額 – 10万円 または所得の5%) ※上限200万円
有利になるケース 年間の医療費総額が10万円以下で、
特定の市販薬購入が多い場合
年間の医療費総額が10万円を超える場合

一般的に、年間の医療費が10万円を超える場合は医療費控除が、10万円未満で市販薬の購入が多い場合はセルフメディケーション税制が有利になることが多いです。ご自身の医療費を計算し、より節税効果の高い方を選択しましょう。

注意点3:ふるさと納税の「控除上限額」が下がる

前述のシミュレーションでも示しましたが、セルフメディケーション税制による所得控除が適用されることで、課税所得が減少し、それに伴いふるさと納税の控除上限額も数千円程度減少します。

これは、ふるさと納税の控除上限額が、個人の所得や家族構成、他の所得控除額によって決まるためです。課税所得が少なくなると、寄附金控除の計算式の分母が小さくなるため、控除できる金額の総額もわずかに減少します。

しかし、この上限額の減少分を差し引いても、セルフメディケーション税制による節税効果が上回るため、両制度を併用する方がトータルの節税額は大きくなります。

【一覧比較】併用 vs. 単独利用|結局どれが一番お得?

ここでは、「ふるさと納税のみ」「セルフメディケーション税制のみ」「両方併用」の3パターンで、節税効果と手続きの手間を比較し、結局どれが一番お得なのかを明確にします。

節税効果と手続きの比較表(年収500万円・独身のモデルケースAの場合)

比較軸 ふるさと納税のみ利用 セルフメディケーション税制のみ利用 両方併用が最もお得
所得税の軽減額(目安) 約48,000円 約3,800円 約50,800円
住民税の軽減額(目安) 約68,000円 約3,800円 約69,800円
トータルの節税額(目安) 約114,000円 約7,600円 約118,600円(自己負担2000円除く)
ふるさと納税上限額 約61,000円 約59,000円
手続きの手間 ワンストップ特例可
または確定申告
確定申告必須 確定申告必須
結論 手間が少ない 比較的シンプル 最も節税効果が高い

上記比較表からもわかるように、手続きの手間は「両方併用」が最もかかりますが、トータルでの節税効果は「両方併用」が最も高くなります。

節税に積極的に取り組みたい方は、手間を惜しまず、両制度の併用を強くおすすめします。

ふるさと納税を最大限に活用し、賢く節税したいなら、まずは寄附先の選定から始めましょう。

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併用する場合の確定申告|具体的な手順と必要書類リスト

ふるさと納税とセルフメディケーション税制を併用して確定申告を行う場合、以下の書類を準備し、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を利用するとスムーズです。

必要書類リスト

  1. 源泉徴収票: 勤務先から発行されるもの。
  2. ふるさと納税の寄附金受領証明書: 寄附を行った自治体から送付されるもの。複数ある場合は全て必要。
  3. セルフメディケーション税制の明細書: 年間の対象医薬品購入費がわかるレシートなどを基に作成します。事前に集計し、計算しておきましょう。
    • 特定の登録販売者名や購入店舗名、医薬品名、金額が記載されているレシートや領収書が必要です。
    • 健康の保持増進及び疾病の予防への取組を行ったことを証明する書類(特定健診や予防接種の領収書・結果通知表など)も必要となる場合があります。
  4. マイナンバーカード(またはマイナンバー通知カード+身元確認書類)
  5. 本人名義の預貯金口座情報: 還付金を受け取るため。

確定申告の具体的な手順(国税庁「確定申告書等作成コーナー」での入力)

  1. 国税庁のウェブサイトにアクセス: 「確定申告書等作成コーナー」を開きます。
  2. 申告書の種類を選択: 「所得税の確定申告書を作成する」を選び、質問に沿って進みます。
  3. 源泉徴収票の入力: 勤務先から受け取った源泉徴収票の情報を入力します。
  4. 所得控除の入力:
    • 「医療費控除」の項目に進みます。
    • ここで「セルフメディケーション税制の適用を受ける」を選択し、Step1で計算したセルフメディケーション税制の控除額(対象医薬品購入費-12,000円)を入力します。
    • 健康の保持増進及び疾病の予防への取組の証明書の内容を必要に応じて入力します。
  5. 税額控除の入力:
    • 「寄附金控除」の項目に進みます。
    • ふるさと納税の「寄附金受領証明書」に記載されている情報(寄附先の団体名、寄附金額など)を入力します。
    • この際、「寄附金控除」が選択されていることを確認してください。
  6. その他必要事項の入力: 扶養控除など、他の所得控除や税額控除がある場合はそれぞれ入力します。
  7. 計算結果の確認: 入力内容に基づいて、所得税額や住民税額の計算結果が表示されます。還付される金額も確認できます。
  8. 提出方法の選択: e-Tax(電子申告)または書面提出を選択します。e-Taxであれば、自宅からオンラインで提出でき、書類の送付も不要なため、最も簡単でおすすめです。

必要書類を事前に準備し、不明点があれば国税庁のウェブサイトや税務署の相談窓口を活用しましょう。

まとめ:仕組みを理解し、確定申告で2つの制度を賢く併用しよう

本記事では、ふるさと納税とセルフメディケーション税制の併用に関する以下のポイントを解説しました。

  • ふるさと納税とセルフメディケーション税制は、控除の仕組みが異なるため併用が可能です。セルフメディケーション税制は「所得控除」で課税所得を減らし、ふるさと納税は「税額控除」で税額を直接減らします。
  • 併用するには、必ず確定申告が必要となり、ふるさと納税のワンストップ特例制度は利用できません。
  • セルフメディケーション税制により課税所得が減少するため、ふるさと納税の控除上限額はわずかに減少します。しかし、それを差し引いても併用する方がトータルの節税効果は最大化されます。
  • セルフメディケーション税制と医療費控除は選択制です。年間医療費が10万円を超えるかどうかが判断の一つの目安となります。

自身の年収、対象医薬品の購入額、そして医療費の状況を基に、まずは控除額をシミュレーションしてみることが重要です。制度の仕組みを正しく理解し、計画的に確定申告を行うことで、賢く税負担を軽減しましょう。

マリ|コスパ生活研究家

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