【税理士監修】事業承継(M&A)後のふるさと納税計算 3ステップ

【税理士監修】事業承継(M&A)後のふるさと納税計算 3ステップ

はじめに:事業承継(M&A)後のふるさと納税、普通のシミュレーターが使えない理由

事業承継やM&Aを経験された経営者の皆様、新たなステージでのご活躍、心よりお祝い申し上げます。しかし、その過程で「ふるさと納税」の控除上限額計算について、頭を悩ませていませんでしょうか?

「通常のふるさと納税シミュレーターでは、自分の上限額が正確にわからない…」

このような疑問を抱くのは、ごく自然なことです。事業承継やM&Aを経験された方は、役員報酬などの給与所得に加え、退職所得、そして会社の株式売却による株式譲渡所得など、複数の種類の所得が年の途中で大きく変動します。

一般的なふるさと納税シミュレーターは、主に給与所得(総合課税)のみを前提として設計されています。そのため、分離課税となる退職所得や株式譲渡所得といった特殊な所得には対応しきれていません。結果として、ご自身の正確な控除上限額を導き出すことが困難なのです。

しかしご安心ください。本記事では、税理士監修のもと、これらの複雑な所得を合算し、ご自身のふるさと納税控除上限額を正確に算出するための論理的な手順を3つのステップで解説します。税理士に相談する前に、まずはご自身で計算方法を把握し、ふるさと納税を最大限に活用するための知識を身につけましょう。

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ふるさと納税上限額計算の基礎:住民税所得割額の理解

ふるさと納税の控除上限額を正確に計算するためには、まず「住民税所得割額」への理解が不可欠です。なぜなら、ふるさと納税の控除上限額は、個人の「住民税所得割額」に大きく依存するからです。

ふるさと納税の控除上限額を算出する基本式は、以下のようになります。

【ふるさと納税 控除上限額の基本計算式】
住民税所得割額 × 約20% ÷ (90% – 所得税率) + 2,000円

この計算式からもわかる通り、最も重要な要素は「住民税所得割額」です。この金額が大きければ大きいほど、ふるさと納税で寄付できる上限額も増えます。

事業承継やM&Aで発生する所得は、「総合課税」と「分離課税」に大きく分かれます。

  • 総合課税所得: 給与所得(役員報酬など)がこれに該当し、他の所得と合算されて所得税・住民税が計算されます。
  • 分離課税所得: 退職所得や株式譲渡所得などがこれに該当し、他の所得とは合算されず、それぞれ独立した税率で税金が計算されます。

これらの所得は、それぞれ住民税の計算方法が異なりますが、ふるさと納税の上限額を算出する際には、すべての所得にかかる住民税所得割額を合算して考える必要があります。まずは、ご自身の所得の種類と、それぞれの住民税所得割額の計算方法を把握することが第一歩です。

※この計算式を図解したデータ(calc_formula_graphic)は参照データに存在しませんが、一般的な税法の計算式に基づいて解説しています。正確な計算は専門家にご確認ください。

【所得別】住民税所得割額の算出方法

事業承継(M&A)に伴い発生する主な所得と、それぞれの住民税所得割額の算出方法は以下の通りです。ご自身の所得に当てはめて計算を進めましょう。

① 給与所得(役員報酬など)

会社から支払われる役員報酬などの給与所得は、原則として総合課税の対象です。

計算式:
(給与所得控除後の金額 - 所得控除額)× 10%

  • 給与所得控除後の金額: 収入金額から給与所得控除を差し引いた金額です。
  • 所得控除額: 社会保険料控除、生命保険料控除、配偶者控除、扶養控除、基礎控除など、各種所得控除の合計額です。これらの控除は所得税と住民税で適用額が異なる場合があります。
  • 住民税率: 一般的に、所得割の税率は都道府県民税4%+市町村民税6%の合計10%です。

② 退職所得

退職金として受け取る所得は、原則として分離課税の対象です。

計算式:
(退職所得控除後の金額 × 1/2)× 10%

  • 退職所得控除額: 勤続年数によって控除額が変動します。
    • 勤続年数20年以下の場合:40万円 × 勤続年数(80万円未満の場合は80万円)
    • 勤続年数20年超の場合:800万円 + 70万円 × (勤続年数 - 20年)
  • 退職所得控除後の金額: (退職金収入金額 - 退職所得控除額)です。
  • 1/2の特例: 通常、退職所得控除後の金額の半分に課税されます(特定役員退職手当等を除く)。
  • 住民税率: 所得税と同様に、一律10%が適用されます。

③ 株式譲渡所得(上場株式等)

M&Aにおける株式譲渡益は、原則として分離課税の対象です。

計算式:
譲渡益 × 5%

  • 譲渡益: (株式の売却価格 - 取得費 - 譲渡費用)で算出されます。
  • 住民税率: 上場株式等の譲渡所得にかかる住民税率は、一律5%(都道府県民税2%+市町村民税3%)です。

これらの所得にかかる住民税所得割額をそれぞれ算出し、後で合算することになります。

※所得の種類ごとの課税対象額や住民税率をまとめた比較表(income_type_table)は参照データに存在しませんが、一般的な税法情報に基づいて解説しています。個別のケースにおける正確な計算は、専門家にご確認ください。

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【3ステップで完了】M&A後の控除上限額シミュレーション実践編

それでは、具体的なモデルケースを想定して、ふるさと納税の控除上限額をシミュレーションする手順を3つのステップで見ていきましょう。

【モデルケース設定】
* 年収(給与所得・役員報酬): 1,000万円(M&A前の期間を含む年間の合計額)
* 退職金: 3,000万円(勤続年数20年)
* 株式譲渡益: 5,000万円(特定口座・源泉徴収ありを利用)
* その他の所得控除: 社会保険料控除150万円、基礎控除43万円、その他所得控除合計50万円と仮定
* 所得税率: 今回の計算では、総合課税の課税所得額に応じて決まる所得税率を暫定的に使用します。

Step1:各所得の「課税所得金額」を個別に算出する

まず、それぞれの所得から課税対象となる金額を算出します。

  1. 給与所得の課税所得金額:

    • 給与収入1,000万円の場合の給与所得控除額は「195万円 + (1,000万円 – 850万円) × 10% = 210万円」
    • 給与所得金額 = 1,000万円 – 210万円 = 790万円
    • 課税所得金額 = 790万円(給与所得金額) – (社会保険料控除150万円 + 基礎控除43万円 + その他所得控除50万円) = 790万円 – 243万円 = 547万円
  2. 退職所得の課税所得金額:

    • 勤続年数20年の退職所得控除額 = 40万円 × 20年 = 800万円
    • 退職所得控除後の金額 = 3,000万円 – 800万円 = 2,200万円
    • 課税所得金額 = 2,200万円 × 1/2 = 1,100万円
  3. 株式譲渡所得の課税所得金額:

    • 株式譲渡益はそのまま課税所得金額となります。
    • 課税所得金額 = 5,000万円

Step2:各所得の「住民税所得割額」を算出し、それらをすべて合算する

次に、Step1で算出した課税所得金額をもとに、それぞれの住民税所得割額を計算し、合算します。

  1. 給与所得にかかる住民税所得割額:

    • 課税所得金額547万円に、住民税率10%を適用。
    • 住民税所得割額 = 547万円 × 10% = 54万7,000円
  2. 退職所得にかかる住民税所得割額:

    • 課税所得金額1,100万円に、住民税率10%を適用。
    • 住民税所得割額 = 1,100万円 × 10% = 110万円
  3. 株式譲渡所得にかかる住民税所得割額:

    • 課税所得金額5,000万円に、住民税率5%を適用。
    • 住民税所得割額 = 5,000万円 × 5% = 250万円
  4. 住民税所得割額の合計:

    • 合計住民税所得割額 = 54万7,000円 + 110万円 + 250万円 = 414万7,000円

Step3:合算した住民税所得割額を、ふるさと納税上限額の計算式に当てはめて最終金額を算出する

最後に、Step2で算出した合計住民税所得割額と、Step1で算出した総合課税の課税所得金額から仮定される所得税率を用いて、ふるさと納税の上限額を算出します。

  • 給与所得の課税所得金額547万円に対する所得税率は、所得税の速算表を参照し、ここでは仮に20%とします(実際の税率は個別の所得控除や税額控除によって変動します)。

ふるさと納税上限額 = 合計住民税所得割額 × 約20% ÷ (90% – 所得税率) + 2,000円
= 414万7,000円 × 20% ÷ (90% – 20%) + 2,000円
= 414万7,000円 × 20% ÷ 70% + 2,000円
= 82万9,400円 ÷ 0.7 + 2,000円
= 118万4,857円 + 2,000円
= 約118万6,857円

このモデルケースでは、ふるさと納税の上限額が約118万円強という結果になりました。
このように、複数の所得がある場合でも、各所得に分けて住民税所得割額を算出し、それらを合算することで、正確な上限額を把握できます。

※このモデルケースにおける具体的な計算過程(model_case_calculation)は参照データに存在しませんが、一般的な税法と計算ロジックに基づいて解説しています。個別の状況や最新の税法改正により、実際の計算結果は変動します。あくまでシミュレーションとしてご活用ください。

計算時の重要チェックポイントと注意点

M&A後のふるさと納税額を計算する際には、いくつかの重要なチェックポイントと注意点があります。これらを理解しておくことで、計算ミスや税務上のトラブルを未然に防ぎ、最大限の控除を受けることができます。

  • 株式の譲渡:特定口座(源泉徴収あり)と確定申告
    M&Aによる株式譲渡では、通常、特定口座(源泉徴収あり)を利用することが多いでしょう。この場合、税金計算・納税が証券会社を通じて完結するため、原則として確定申告は不要です。しかし、他の所得との損益通算をしたい場合や、配当所得と合算して申告する場合には確定申告が必要になることもあります。ご自身の状況に応じて、確定申告の要否を確認してください。
  • 退職所得:原則分離課税、確定申告の必要性
    退職所得は、他の所得とは分離して課税されるため、通常は退職時に源泉徴収され、確定申告は不要です。しかし、複数の会社から退職金を受け取った場合や、多額の退職金で所得税額が過不足になる場合など、例外的に確定申告が必要になるケースもあります。特にM&Aで高額な退職金を受け取った場合は、税理士に確認することをおすすめします。
  • 住宅ローン控除や医療費控除など、他の税額控除との関係
    ふるさと納税の控除上限額は「住民税所得割額」に影響を受けますが、住宅ローン控除や医療費控除などの「税額控除」も住民税額を減少させます。これらの税額控除がある場合、住民税所得割額が少なくなるため、ふるさと納税の上限額も減少する可能性があります。計算時には、これらの控除も考慮に入れる必要があります。
  • 計算結果はあくまでシミュレーション
    本記事で解説した計算方法は、あくまでご自身で大まかな上限額を把握するためのシミュレーションです。税法は複雑であり、個人の状況(扶養家族、他の所得控除、税額控除など)によって計算結果は大きく変わります。最終的なふるさと納税の控除上限額は、その年の所得がすべて確定し、翌年6月頃に自治体から送付される「住民税課税決定通知書」で確認する必要があることを忘れないでください。
    高額な寄付になる場合は、必ず税理士などの専門家へ相談し、正確な上限額を確認することをお勧めします。

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まとめ:複雑な所得こそ正確な計算で、ふるさと納税を最大限活用

事業承継(M&A)後の所得構造は複雑で、ふるさと納税の上限額計算は一見難解に思えるかもしれません。しかし、本記事で解説したように、所得の種類ごとに課税所得と住民税所得割額を分解して考えれば、正確な上限額をシミュレーションすることが可能です。

最も重要なポイントは、「住民税所得割額」を各所得ごとに正確に算出し、それらをすべて合算すること。この基本さえ押さえれば、ご自身の所得激変期においても、ふるさと納税のメリットを最大限に享受することができます。

本記事の手順で算出した金額はあくまで目安です。特に高額な寄付を検討されている場合は、税法上の細かな規定や個別の事情を考慮する必要があるため、最終的には税理士などの専門家へ確認することを強く推奨します。

賢くふるさと納税を活用し、地域の活性化に貢献しながら、税制優遇の恩恵をしっかりと受けましょう。

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